こんにちは、定期的に論文を読むことがあるので少し今回まとめてみました。
読んだのはJAMDA 23 (2022) 729e735 からBreakfast Protein Quality and Muscle Strength in Japanese Older Adults: A Community-Based Longitudinal Studyです。
訳すと「朝食のタンパク質の質と日本人高齢者の筋力:地域ベースの縦断研究」という文献を参考にします。日本の研究結果です。
朝ごはん食べてますか? 二日酔いで食べられないこともありますし、朝はパンとコーヒーだけとか、朝は果物だけとか。
そんな方は朝にタンパク質!!しかも吸収効率が良いタンパク質が大事です!!(高齢者では)ということです。
私たちが年を重ねるにつれて、筋力を維持することが重要になってきます。
その筋力を簡単に測る方法の一つが「握力」です。握力が弱くなると、日常生活に支障をきたす可能性があるんです。サルコペニアという状態を把握する時にも握力は使用されます。
そこで握力との関係に注目されたのが、毎日の食事、特に朝ごはんです。
朝ごはんは一日の始まりを支える大切な食事。この朝ごはんで摂るタンパク質の「質」が、高齢者の握力にどう影響するのか調べられました。
日本の愛知県大府市と東浦町の住民で、60歳以上83歳までの方701人を対象に調査が行われました。参加者の朝ごはんの内容を詳しく記録し、タンパク質の質を「PDCAAS」という指標で評価しました。PDCAASは、体がどれだけそのタンパク質を利用できるかを示す値です。そして、参加者の握力を定期的に測定し、PDCAASの高さと握力の変化を比較しました。朝食のPDCAASに基づき、参加者を男女別に3つの群(低、中、高)に分類し、握力低下の発生率との関連を評価しています。
✳︎ ではPDCAASって??
PDCAASとは、「タンパク質消化率補正アミノ酸スコア」(Protein Digestibility Corrected Amino Acid Score)の略称です。これは、食品中のタンパク質の質を評価する指標の一つです。PDCAASの値は0から1までの範囲で表されます。1に近いほど、そのタンパク質の質が高いということになるようです。PDCAASは1.00が最高値となるため、1.00を超える値は切り捨てられます。実は新たな指標であるDIAASもあります。
結果はとてもはっきりしていました。朝ごはんで質の高いタンパク質を摂っていた人ほど、握力の低下が少なかったのです!この結果は、朝ごはんで摂るタンパク質の量もですが、「質」が重要だということを示しています。良質なタンパク質を含む食品を選ぶことが大切なんですね。
良質なタンパク質を含む朝ごはんとは? 研究では、PDCAASの高い朝ごはんを食べていた人は、以下のような傾向がありました:
つまり、和食でいえば、納豆や焼き魚、卵焼き、ヨーグルトなどを含む朝ごはんが、握力維持に良さそうです。
この研究から、高齢者の方が筋力を維持するには、朝ごはんで良質なタンパク質を摂ることが大切だとわかりました。
ただし、これはあくまで関連性を示したもので、直接的な因果関係を証明したわけではありません。
今後は、実際に朝ごはんの内容を変えて握力への影響を調べる研究や、日本以外の国でも同じ結果が得られるかを確認する研究が必要ですし今回の論文は女性でそのような結果になってて男性ではあまり出てません。これは、女性における元々のタンパク質摂取量の少なさによる可能性が示唆されています
いかがでしたか?「へぇ〜、朝のタンパク質の質って大事なんだ!」毎日の朝ごはんを少し工夫するだけで、将来の健康に良い影響があるかもしれません。
バランスの取れた朝ごはんを心がけ、健康的な毎日を過ごしましょう!
参考文献はこちら:https://www.jamda.com/article/S1525-8610(21)01093-8/fulltext
2023年10月より、長期収載医薬品(先発品)に対する選定療養制度が開始されます。
これにより、後発医薬品(ジェネリック)ではなく先発品を希望される患者さんは、薬局で後発品との差額の1/4を追加でご負担いただくことになります。
当院は院内処方は行っていませんので、当院での支払いではなく、薬代として発生し、薬局での支払いです。
誤解されがちな点について
「医師が一筆書けば、自己負担がかからなくなる」と思われる方もいらっしゃいますし、たまに「薬剤師からそう言われた」という方もいますが、これは誤解です。もしくはその「言った方」が間違っています。
実際には、「医療上の必要性」が厳しく定められており、単に医師が「必要だ」と書くだけでは自己負担が免除されるわけではありません。以下に、厚生労働省が示している「医療上の必要性」が認められる場合について詳しく説明します。
医療上の必要性が認められるケース
厚生労働省が明示している「医療上の必要性」が認められる場合は、以下の通りです:
1. 効能・効果に差異がある場合
先発医薬品と後発医薬品で、薬事承認された効能・効果に違いがある場合。特定の疾病に対して、先発医薬品が必要であると医師が判断した場合です。
実はほとんどのケースでこの部分に当てはまる患者さんはいません。
詳しくは以下のリンクをご参照ください:
- 日本ジェネリック製薬協会 効能効果・用法用量等の違いリスト
2. 副作用や相互作用による問題がある場合
後発医薬品を使用した際に、副作用や他の薬剤との相互作用が生じる、または先発医薬品との間で効果に差異があると医師が判断した場合、安全性の観点から先発医薬品を処方する必要があると判断されます。
3. 学会ガイドラインに基づく場合
学会が作成したガイドラインにおいて、特定の患者について後発医薬品への切り替えが推奨されておらず、それに基づいて医師が先発医薬品を処方する必要があると判断した場合。
4. 剤形上の問題がある場合
後発医薬品の剤形が飲みづらい、または吸湿性のため一包化できないなど、剤形に問題があり、先発医薬品を使用する必要がある場合。ただし、単に剤形の好みで先発医薬品を選ぶことは含まれません。
使用感について
「使用感が良くない」といった、有効成分に関わらない理由では、基本的には先発医薬品の医療上の必要性は認められません。ただし、上記の①~④に該当する場合には、保険給付の対象となります。
つまり、「先発品でないと効果がない」とご自分で考えられているだけで、医療上の必要性がない場合は、ご自身で先発品と後発品の差額を支払って、「自分で買ってください。」というのが、厚労省の考えになります。
これについて、当院は内科ですので、湿布薬・睡眠薬を必要があり処方している方もいらっしゃいますが、専門外の薬剤で、湿布に関して後発品は効果が弱いという方は、当院では処方せず整形外科で処方してもらう、睡眠薬は先発品でないと効かないという方は精神科や心療内科で処方してもらう。など(他の薬剤も同じ)のように対処いたしますので、ご了承ください。
参考リンク
詳細な情報については、以下のリンクをご参照ください:
皆さん、こんにちは。高尿酸血症や痛風についてご存知ですか?
健診で尿酸値が高いと指摘されたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
痛風は主に男性に関係しますが、女性にも発症する可能性があります。
実は、高強度(かなり負荷の強い)筋力トレーニングは尿酸値を上昇させることが報告されています。 筋力トレーニングは健康維持に重要ですが、高尿酸血症や痛風のリスクがある方は注意が必要です。無酸素運動である筋トレは、尿酸値を上昇させる可能性があります。
今回の参考資料はこちら:
このため、元々尿酸値の高い方に対しては、ガイドライン上では有酸素運動が推奨されています。しかし、筋トレも重要な運動の一つです。有酸素運動だけでは持久力は向上しますが、筋肉量を効果的に増やすことは難しいのが現状です。
筋力トレーニングは健康維持に重要な役割を果たしますが、痛風や高尿酸血症のリスクがある方は、尿酸値への影響を考慮しながら適切に行うことが大切です。
自身の体調や尿酸値の状況に応じて、医療専門家のアドバイスを受けながら、安全で効果的なトレーニング計画を立てましょう。
適切な運動と生活習慣の管理により、健康的な筋力トレーニングを継続することが可能です。
でも、ガッツリ筋トレすると気持ちいいですよね^^。
それ、よくわかります!!
先日、「第58回 4地区合同糖尿病を語る会」にて一般講演の座長を務めさせていただきました。
今回のテーマは「糖尿病と癌」でしたが、その中で特に印象に残ったのは、食事療法と糖尿病や癌発症の関係についての講演でした。
糖尿病の食事療法は、栄養バランスを考慮した食事を通じて血糖値をコントロールし、合併症のリスクを減らすことを目的としています。一方で、癌の予防における食事療法もまた、多方面からのアプローチが必要です。
以下に、癌予防に寄与する主な食事要素についてまとめました:
1. 野菜と果物の摂取: 多くの研究で、野菜と果物を多く摂ることが癌のリスクを低下させると示されています。ただし、果物の摂りすぎは糖尿病には良くありません。
2. 加工肉と赤肉の摂取: 加工肉や赤肉の高摂取は、癌のリスクを高めることが示されています。
3. アルコールの摂取: アルコールの過剰摂取は、口腔、咽頭、喉頭、食道、肝臓、乳房、結腸直腸など、さまざまな癌のリスクを高めることが知られています。
4. 食物繊維の摂取: 穀物由来の食物繊維は果物や野菜からの食物繊維より寄与しそうです。
5. 糖分の多い飲料と高カロリー食品の摂取を控える: これらは肥満に関連しており、肥満自体が様々な種類の癌のリスクを増加させることが知られています。
また、フィトケミカルの役割についても触れたいと思います。
フィトケミカルとは、野菜や果物、豆類などに含まれる植物由来の化学物質で、抗酸化作用や抗炎症作用、ホルモンの調節作用など、多岐にわたる健康効果があります。例えば、イソフラボンは有名ですよね。
このように、食事療法は癌予防にも糖尿病管理にも重要な要素となり得ます。私たちが普段口にする食物がどのように体に影響を与えるのかを理解し、バランスの取れた食事を心掛けることが、長期的な健康維持につながると改めて実感しました。
これからも、糖尿病を持つ患者さんだけでなく。健康的な食生活を共に見直し、実践していきましょう。
と言いつつ、後輩がいましたので、
「果物とろう!!」ってことになり、一杯だけ洋梨のカクテルを寄り道して飲みました💦。