「痩せている=健康」ではありません !!― 女性の低体重・低栄養(FUS)という新しい考え方 ―

最近、K-popアイドルの極端な痩せが話題になることが増えています。痩せている方に憧れを持つ方も多いと思います。

しかし、ここで一度立ち止まって考えてみたい事実があります。

 

実は、日本の女性のほうが“痩せ”は多い

「痩せ=韓国の女性が多い」というイメージを持たれがちですが、

統計的には、日本の女性のほうが“痩せ”の割合は高いことがわかっています。

日本では、成人女性の1割以上 、特に20〜30代女性では約5人に1人が「痩せ(BMI<18.5)」に該当します。

一方、韓国の全国調査では、女性の痩せの割合は日本より低い水準で推移しています。

つまり、K-popアイドルに憧れている方が、韓国で痩せが目立つのかと思う一方で、

社会全体として“痩せが当たり前になっている”のは、むしろ日本という構図が見えてきます。

 

日本では「痩せたい」が当たり前になりすぎている

診察室でも、世代を問わずよく聞く言葉があります。

  • 「今より2kgくらい痩せたい」

  • 「体重が増えないように気をつけています」

実際、どの年代の女性でも、幾つになっても「もう少し痩せたい願望」を持つ割合が高いことがわかっています。

さらに驚くことに、小学1年生の女の子でも3割以上が「痩せたい」と感じているという調査結果もあります。

知らない間に、「痩せているほうが良い」

という価値観が、非常に早い段階で刷り込まれているのです。

 

痩せている女性に起こりやすい体の変化

痩せていることは、一見「健康そう」に見えます。

しかし、体の中では次のような変化が重なりやすくなります。

  • 貧血、立ちくらみ、疲れやすさ

  • 月経不順・無月経

  • 冷え、だるさ、頭痛

  • 骨密度の低下

  • 筋肉量の低下

  • 血糖の調整がうまくいかない(耐糖能異常)

これらは偶然ではなく、低体重・低栄養を土台に連鎖的に起こる問題です。

 

痩せているのに、糖尿病リスク?

「糖尿病は太っている人の病気」ではありません。

そう思われがちですが、必ずしもそうではありません。

痩せた女性では、筋肉量が少ない。日常の活動量が少ない。そのため、エネルギーを“ためて・使う”回転が低いといった状態になりやすく、

血糖をうまく処理できない体質が表に出てくることがあります。これは、“低回転型の代謝”とも言える状態です。

 

骨の健康は、20〜30代が将来を決める

骨密度は、20〜30代でピークを迎え、その後は少しずつ低下していきます。

研究では、骨のピークが10%高いだけで、将来の骨粗鬆症を約10年遅らせられる可能性が示されています。

若い頃の「痩せすぎ」は、骨のピークは低下していることがわかっています。やせは将来の骨の貯金を減らしてしまう行為でもあります。

 

「昔は痩せていた」より「今、痩せている」ことが問題

研究からわかっている重要な点があります。20歳頃は痩せていたが、今は標準体重→ 骨のリスクはそれほど高くない

  • 若い時も痩せていて現在も痩せている→ 骨密度低下のリスクが高い

つまり、過去よりも「今の体の状態」が、将来の健康を左右します。

 

FUS(女性の低体重・低栄養症候群)という考え方

こうした背景を受けて、日本では FUS(Female Underweight / Undernutrition Syndrome)という新しい疾患概念が整理され始めました。まだ、疾患としての診断基準などはさだまっていません。

しかし、これは、痩せていること自体ではなく、痩せを土台に、複数の体の不調が重なっている状態を一つのまとまりとして捉える考え方です。

 

まず大切にしたい、3つの基本

極端な方法より、まずはここからです。

  • ① 3食、きちんと食べる

  • ②日常的に体を動かす(目安:8000歩前後)

  • ③しっかり眠る(7時間前後)

「体重を減らす」より、「体調が整っているか」を大切にしてみてください。

 

クリニックから伝えたいこと

マンジャロでのダイエットやK-popアイドルのように、痩せていることは正しいと思いすぎることは危険です。

確かに、肥満症の方が痩せようとするのはよいですが、やりすぎは良くありません。一度 ご自身の正しいボディイメージを考え直すのもよいかもしれません。

日本では、気づかないうちに“痩せすぎ”が普通になっている。痩せていることは、努力の結果かもしれません。

でも、健康の保証ではありません。閉経前の女性で、最近疲れやすい、月経が不安定、立ちくらみが多い、将来の骨や血糖が気になる

そんなときは、「太っていないから大丈夫」と思わず、体重ではなく、体調と未来を見ることを、考え直してみませんか?

2026年02月01日