秋が深まり、朝晩の気温差を感じる季節。外は肌寒くても、日中は暖かい。そんな「寒暖差」が大きくなる時期に増えるのが、手足の冷えや「しもやけ(凍瘡)」です。
寒さを感じると、体は熱を逃がさないように末梢の血管を収縮させます。急に暖かい環境に戻ると血流が一気に増え、毛細血管が炎症を起こして赤紫色に腫れたり、かゆみや痛みを感じるようになります(DermNet NZ, 2023)。
この血流変化をコントロールする自律神経が、急な温度変化で乱れることも関係しています(Mayo Clinic, 2024)。
日本では、最低気温が5℃以下・日中との気温差が10℃以上になると、しもやけが増えると報告されています(日本皮膚科学会, 2022)。
冬の始まりや終わり、つまり「寒暖差が大きい時期」に最も発症が多く、寒さが安定した真冬よりも初冬〜晩冬に注意が必要です。
国際的にも、湿度が高く0〜15℃程度の地域で発症率が高いことが知られています(DermNet NZ, 2023)。乾燥した極寒地よりも、「しっとり冷える日本の冬」がしもやけを起こしやすい環境といえます。
女性(筋肉量が少なく熱を作りにくい)
子どもや高齢者(血流調節が未熟/低下している)
痩せ型・貧血・喫煙者(末梢循環が悪化しやすい)
冷え性や糖尿病など血流障害のある人
(厚生労働省「国民生活基礎調査」, 2023)
服装で防寒を徹底
首・手首・足首の「三首」を冷やさない。濡れた靴下や手袋は早めに交換。
入浴で深部体温を上げる
38〜40℃のぬるめの湯に10〜30分。就寝1.5時間前が理想(日本温泉気候物理医学会, 2021)。
筋肉をつけて冷えにくい体へ
ウォーキングやスクワットなどで代謝と血流を改善(厚労省・身体活動基準2023)。
食事で内側から温める
たんぱく質とビタミンEを意識。朝食を抜かないことで体温リズムを整える。
急な寒暖差を避ける
エアコンの温度設定を穏やかに変え、屋内外の温度ギャップを減らす。
しもやけや冷えは、単なる冬の不快症状ではなく、「血流のサイン」。
寒暖差が大きくなる10月からの準備が、冬を快適に過ごすカギです。
筋肉を動かし、血の巡りを整え、身体を内外から温めていきましょう。