糖尿病フットケア

糖尿病患者さんの足の現状をご存知でしょうか?
実は世界では20秒間に1つの足が糖尿病の為に切断となっています。
糖尿病の方は、「運動しましょう」とこれまでに言われたたことはあると思いますが、運動する前に足のチェックを受けたことはありますか?実は運動する際には「足をよく観察」することが推奨されています。(糖尿病診療ガイドライン2016 P73 Q4-5「ステートメント」5段目) ご自分で足をみて、足の病気になりやすいか、なりにくいかを判断するのは非常に難しいです。福岡の六本松にある福岡市科学館に行かれたことはありますか?そちらの3Fには株式会社ASAHIシューズのブースがあり、「子供に多い足のトラブル」の原因が書かれています。(2018年8月時点)「外反母趾」「内反小趾」「開帳足」「ハンマートウ」「陥入爪」などです。実はこれらは糖尿病患者さんに生じると下肢の切断につながる可能性を秘めているものです。ご自身でこれらを理解するのは難しいかと思います。是非、足をみせてください。もし、必要があれば靴や中敷き(インソール)をお勧めします。例えば、重症の糖尿病神経障害(「しめじ」の項目をご参照ください)がある患者さんに、タコ(医学的には胼胝といいます)が存在する場合は一般の方よりも切断につながる足の潰瘍になる確率は11倍というデータがあります(Diabetic Med 1996)。糖尿病の方にとっては、「たかがタコ(胼胝)、されどタコ(胼胝)」です。
糖尿病フットケア

糖尿病と足病変の関係

「糖尿病足病変(Diabetic foot)」という病変を聞いたことがありますでしょうか?世界保健機関(WHO)では「神経障害や血流障害を伴った下肢の感染症や潰瘍及び深部組織の破壊病変を示すとされています。
日本では、それほど多くはなく、糖尿病患者さんの足えそ(壊疽)の有病率(病気を持っている人の割合)は1%前後ぐらい(欧米では2~10%)で、糖尿病専門病院にかかっている方の切断率は年間0.05%(欧米は約0.3%前後)と言われています。

しかし、現在日本の糖尿病足病変で問題となっているのは、高齢化と透析患者さんの四肢切断です。透析患者さんの四肢切断数の割合は2014年には3.7%との報告が日本透析医学会より示されています。これは年々増加医傾向にあります。「しめじ」の項目にも記載しておりますが、透析患者さんの多くが糖尿病をお持ちです。糖尿病からの透析患者さんは切断率が高いのが現状です。この切断率を減らすために国は下肢末梢動脈疾患指導管理加算を2016年に新設し透析施設では近くの基幹病院と連携することで、足のチェック(フットチェック)をする機会が増えました。これは今後透析患者さんの下肢切断をかなり減らすことができるようになる非常に重要な部分だと思います。
しかし、透析が必要になる前が非常に重要です。多くの場合、透析が必要にはなっていなくても糖尿病腎症が進んだ状態になると、足のむくみなどの症状が出てきます。そのときには多くの場合、最も早期に出現する合併症である、糖尿病神経障害は非常に進行している状態です。どういうことかというと、既に足の感覚はかなり落ちている可能性が高く、足の病気(糖尿病足病変)になっても痛みがないので気付かない状態になっていることがあります。更に、腎臓の病気で足がむくんでいると一度傷が足にできてしまうと治りにくい状態になります。つまり、下肢の切断の危険は潜んでいるためそのころから、ご自身の足がどうなっているかを知っていただく必要があります。

また、現在日本は超高齢化社会を迎えています。「ピンピンコロリ(PPK)」とよく言われますが、できれば、寝たきりで過ごすよりも、家族に迷惑をかけずに過ごしたいと思われている方がほとんどではないかと思います。そのPPKで行くには健康寿命を延ばす必要があります。健康寿命を延ばすには、歩けること、つまり歩行を保つことも非常に重要ではないでしょうか?実は糖尿病患者さんは転倒することが多いと言われています。転倒すると、骨折場所によっては寝たきりになってしまいます。なぜ糖尿病の方が転倒しやすいかと言いますと、神経障害です。神経障害があるとバランスが悪くなったり、足の(下肢の)筋力が低下しやすくなります。これは、最近出てきた医学用語である「ロコモーティブシンドローム」、「フレイル」、「サルコペニア」といった病気と関連します。
当院では糖尿病足病変治療(足潰瘍や傷のある患者さんも含めて)をこれまで多数経験してきた医師及び糖尿病患者さんのフットケアを多数経験している看護師も在籍しております。また、筋肉量を測定するために「Inbody」という機器を使用し転倒の危険性や、足の病気になる前の予防指導を行っております。また、これまで福岡市内でNPO法人「足もと健康サポートねっと」にも参加してきたこともあり、足全般に関するご相談を受けることが可能です。遠慮なくご相談ください。

足病変の主な症状

□しびれがある
□足が冷たい、ほてる
□足がよくつる
□足が痛い、しびれる
□皮膚や爪の色が悪い
□皮膚が乾燥している
□傷が治らない
□膿が出る

当院で行うフットケア

自分でできるフットケア

・毎日、足を観察しましょう
・足を清潔に保ちましょう
・爪は切りすぎに注意し正しく切りましょう
・自分の足に合った靴を履きましょう
・靴下を履きましょう
・やけどやケガに注意しましょう
・定期的に受診し、ひどくなる前にケアしましょう